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MCPって何?AIを拡張する新しい仕組み

2025年7月12日
MCPAI拡張プロトコルClaudeAI連携

AIとの連携、もっとスムーズにできないだろうか

「このAIに、手元のファイルを直接操作してほしい」「AIが、社内のデータベースにアクセスできたら便利なのに」 AIアシスタントを使う中で、このように感じたことはありませんか。AIは非常に賢いですが、その能力はAI自身の持つ知識の中に閉じてしまいがちです。

この記事では、その壁を打ち破るための新しい仕組み、MCP(Model Context Protocol) について、その基本的な概念と目的を分かりやすく解説します。

MCPとは:AIと外部ツールを繋ぐ「共通言語」

はじめに、MCPが何であるかを説明します。

MCPは、Model Context Protocol の略で、一言で言えば AI(モデル)と外部のツールやサービスが対話するための「共通のルール(プロトコル)」 です。

普段、私たちが海外の人と話す時に英語という共通言語を使うように、AIがあなたのパソコンのファイルや特定のウェブサービスと「話す」ために、MCPという共通言語を使うイメージです。

これにより、AIはチャット画面の中から飛び出して、あなたの許可のもとで、様々なツールを直接操作できるようになります。

要するに、「AIと外部の世界を安全に繋ぐための、標準的なお約束ごと」がMCPであるということです。

MCPが解決しようとする課題

なぜMCPのような仕組みが必要なのでしょうか。それは、従来のAI連携が抱えるいくつかの課題を解決するためです。

  • 連携方法がバラバラ: これまで、AIを外部ツールと連携させるには、サービスごとに独自のAPIを学び、個別の実装が必要でした。これは非常に手間がかかります。
  • セキュリティの懸念: AIに外部ツールを操作させることは、セキュリティ上のリスクを伴います。どこまでの操作を許可するのか、管理が難しいという問題がありました。
  • 対話能力の限界: 従来のAIは、あくまでテキストを生成することが主な役割で、能動的にツールを操作するようには設計されていませんでした。

MCPは、これらの課題に対して、統一されたインターフェースと、きめ細やかな権限管理の仕組みを提供することで、安全で効率的なAI連携を実現しようとしています。

要するに、「バラバラで危険だったAI連携を、統一的で安全なものに変えること」がMCPの目的です。

プロトコルであることの重要性

プロトコルとは、言い換えれば「ルール」です。

MCPが「ライブラリ」や「フレームワーク」ではなく、「プロトコル」である点は非常に重要です。

  • 特定の技術に依存しない: プロトコルは、いわば「手紙の書き方のルール」のようなものです。そのルールさえ守れば、Pythonで書こうが、JavaScriptで書こうが、どんなプログラミング言語でもMCPに対応したツールを作ることができます。
  • オープンで拡張可能: ルールが公開されているため、誰でも新しいツールを開発し、MCPの生態系に参加することができます。これにより、多様なツールが生まれ、AIの可能性が広がっていきます。

たとえば、HTTPというプロトコルがあるからこそ、私たちはChromeやSafariといった異なるブラウザで同じウェブページを見ることができます。MCPもそれと同じように、AI連携の標準となることを目指しています。

要するに、「特定の企業や技術に縛られず、誰でも自由に参加できるオープンな仕組みであること」が、プロトコルであることの強みです。

まとめ

今回は、AI拡張の新しい仕組みであるMCPの基本的な概念について解説しました。

  • MCPは、AIと外部ツールが対話するための共通のルール(プロトコル)である。
  • バラバラで安全でなかったAI連携を、統一的で安全なものにすることを目指している。
  • オープンなプロトコルであるため、特定の技術に縛られず、誰でも対応ツールを開発できる。
  • 特にAIモデル「Claude」の能力を拡張するために設計されている。

MCPを理解することは、これからのAIとの付き合い方を考える上で非常に重要になります。

次回は、MCPを使うと具体的に「何ができて、何ができないのか」について、その能力と限界を詳しく見ていきます。