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人工知能の定義と分類

2025年6月29日
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人工知能(AI)という言葉を聞かない日はありませんが、実際のところAIって何なのでしょうか?この記事では、AIの基本的な仕組みから分類まで、身近な例を使って分かりやすく解説します。

AIってなに?

はじめに、人工知能(AI)の基本的な概念について紹介します。

人工知能(AI)とは、コンピュータが人間のように考えたり判断したりできる技術 のことです。たとえば、人間が写真を見て「これは犬だ」と判断するように、コンピュータも画像を見て「これは犬です」と答えられるようになります。

AIは「デジタルの脳」のようなもので、データから自分で学んでどんどん賢くなっていきます。たとえば、人間が勉強して知識を増やすように、AIも大量のデータを使って学習し、だんだん正確な答えを出せるようになるのです。

特化型AIと汎用AI

現在のAIは大きく2つのタイプに分けられます:

特化型AI(狭義のAI) は、「一つのことだけがとても得意なAI」です。たとえば、将棋のAIは将棋では人間のプロを倒せますが、料理のレシピを考えることはできません。現在実用化されているAIのほとんどがこのタイプです。

汎用AI(広義のAI) は、「人間のように何でもできるAI」のことです。たとえば、ドラえもんのように会話も料理も勉強も全部できるAIがこれにあたります。ただし、このレベルのAIはまだ実現されていません。

このように、AIは特定の分野に特化した技術と、人間のような汎用的な能力を目指す技術の2つに大きく分けることができます。

AIの4つのレベル分類

次に、AIの発展段階を理解するために、4つのレベル分類について説明します。

AIはその賢さのレベルによって 4つの段階 に分けられます。階段を一段ずつ上がるように、レベルが上がるほど高度なことができるようになります。

レベル1:シンプルな制御プログラム

レベル1のAIは、 「決められた通りに動くだけのプログラム」 です。人間があらかじめ「こういう時はこうしなさい」と全部決めておいて、その通りに動きます。

たとえば

  • 夜になると自動的に点く街灯(暗くなったら点灯する、と決められている)
  • 電動自転車のアシスト機能(ペダルを強く踏んだらモーターも強く回る、と決められている)
  • 洗濯機の水位調整(洗濯物が多いと水を多く入れる、と決められている)

要するに、「もしも○○なら△△する」というルールが一つだけ入っているイメージです。

レベル2:古典的な人工知能

レベル2のAIは、「たくさんのルールを組み合わせて、複雑な判断ができるプログラム」 です。レベル1よりもルールがたくさん入っているので、より複雑な状況に対応できます。

たとえば

  • お掃除ロボット(「障害物があったら避ける」「汚れを見つけたら重点的に掃除する」「バッテリーが少なくなったら充電台に戻る」など、複数のルールを組み合わせて動く)
  • カーナビの音声案内(「右折してください」「渋滞が発生しています」など、状況に応じて適切な案内をする)

要するに、人間が「こんな時はこうしなさい」というルールをたくさん教え込んだAIです。ただし、新しいことを学習することはできません。

レベル3:機械学習を取り入れた人工知能

レベル3のAIは、「データから自分でルールを見つけ出せるAI」 です。これは大きな変化で、人間がルールを教えなくても、AIが自分で「こういう時はこうすればいいんだ」と学習できるようになります。

たとえば

  • Googleの検索エンジン(何億人ものユーザーがどんなキーワードでどのサイトをクリックするかを学習して、最適な検索結果を表示する)
  • アパートの家賃予測システム(「駅から5分で30㎡なら家賃8万円」「駅から10分で25㎡なら家賃6万円」といったデータから、新しい物件の適正家賃を予測する)

要するに、人間が「答え」だけを教えて、「どうやってその答えにたどり着くか」はAIが自分で考えるようになったのです。

レベル4:ディープラーニングを取り入れた人工知能

レベル4のAIは、「何に注目すればいいかも自分で見つけ出せるAI」 です。レベル3では人間が「この要素に注目しなさい」と教える必要がありましたが、レベル4ではそれすらも不要になりました。

たとえば

  • AlphaGo(囲碁のAI。人間が「こう打てば勝てる」と教えたわけではなく、自分で勝ち方を見つけ出してプロ棋士を倒した)
  • 画像認識システム(キリンの写真をたくさん見せるだけで、「首が長いことがキリンの特徴だ」ということを自分で発見する)
  • 自動運転車(運転中にどこを見れば安全に走れるかを、自分で学習していく)

要するに、人間が「何を」教えるかすら決めなくても、AIが自分で重要なポイントを見つけ出せるようになったのです。

このように、AIは単純なルールベースのプログラムから、データから学習し、自ら判断できる高度なシステムまで、段階的に進化してきました。現在私たちが使っているAIのほとんどはレベル3や4の技術で、今後もさらなる発達が期待されています。

重要なキーワード

最後に、AI分野でよく使われる重要なキーワードについて紹介します。

AIエージェント

AIエージェントとは、「人間の代わりに仕事をしてくれるAI」 のことです。たとえば、秘書のように指示を待つだけでなく、自分で判断して行動できるAIを想像してみてください。

AIエージェントの特徴は以下の通りです:

  • 自律性:「自分で考えて行動できる」(人間がいちいち指示しなくても動く)
  • 目的志向性:「目標に向かって頑張る」(ゴールを設定すると、そこに向かって行動する)
  • 知覚と行動:「周りの状況を見て、それに合わせて行動する」(人間が目で見て手で動くように、AIも情報を集めて行動する)

AIエージェントは、これらの特徴を持つことで、人間のパートナーとして様々な分野で活躍できるようになります。

AI効果

AI効果とは、「AIが当たり前になると、もうAIと呼ばれなくなる現象」 のことです。たとえば、昔は「コンピュータが文字を読める」なんて魔法のようでしたが、今では当たり前すぎて誰もAI技術だと思いません。

たとえば

  • OCR(光学文字認識):手書きの文字や印刷された文字をデジタル文字に変換する技術(スマホで書類をスキャンするアプリなど)
  • ルート案内(GPSアプリ):交通状況を分析して最短ルートを教えてくれる技術(Google マップなど)
  • 画像認識:写真の中の人の顔を自動で認識してピントを合わせる技術(スマホのカメラなど)

要するに、これらは全部高度なAI技術なのですが、普及しすぎて「普通の機能」だと思われているのです。

AI効果を理解することで、私たちの身の回りにどれだけ多くのAI技術が使われているかを認識できます。

まとめ

AIは一つの技術ではなく、レベル1からレベル4まで段階的に進化してきた技術の集合体です。たとえば、私たちが毎日使っているスマートフォンには、すでに様々なレベルのAI技術が組み込まれています。

要するに、AIを理解する第一歩は、これらの基本的な分類と仕組みを知ることです。

次回は、AI分野で専門家たちが議論している根本的な問題について、同じように分かりやすく解説していきます。